2019-08-13 盲目の老人 古びた喫茶店の中に、色の濃いサングラスをつけた老人が、居るのを 黄ばんだ窓ガラスから眺めた その店に行きつくまでに、私は何件もの店の窓ガラスから 店内を覗いたが 人がいるのは、この一軒だけだった 私は深く考えもせずに 店内に入ると 頭が割れんばかりの鈴が、ドアの上の方で、鳴った 老人は、こちらの方へと顔を向けると 「珈琲にしますかい」と口を動かしたが 実施兄は、声など聞こえず 私が勝手に、店内に流れる大音量のテレビの中で そう思ったに過ぎない