霧の木曜日

コケシの1人ゴトhttp://rinnnedou.cart.fc2.com/鉱物と変態的日常のゴミ箱と化す予定 https://gagagaruisu.thebase.in

こけし  幻書店


これは、古臭い骨董店で見つけた物だ

伊豆よりも北に三十キロほど走った山奥に、温泉があると言うので

試に行った帰りに、国道脇に洞穴のような店構えをした店を発見した

それは、山に埋もれるように、作られており

看板には、「イタチ堂」とその

何でもありそうな店の軒先とは裏腹に

こじんまりと小さい木の板に書かれていた

私は、車を、路脇の駐車場に止めると

店内に入る事にしたf:id:kirinomokuyoubi:20190328123612j:plain

最近、ガラスペンを、姪が、欲しがっていたのを思い出し

もしかしたらと思ったのだ

店内は、古い箪笥のようなものが、図書館のように並べられており

その中には、色々な得体のしれない古い品が置かれている

私は、それらに接触しないように、気を付けながら

お目当てのガラスペンを探すも

あったとしても、見つけられる自信は無かった

足元には、そこら辺から歩いてきたのかと思うような

小さな狸の置物が箪笥の角にたたずんで居たり

実に、危険極まりない

そんな時、私の目の前に

青い木の人形が、姿を現した

それは、ガラス瓶の中に、入っている大量のマッチ箱の奥を覗き込むことで

ようやく姿を見る事が出来た

色々なにおいが、入り混じったような、その店で

橙色の電球に、照らされて

それは、顔をのぞかせている

私は、注意しながら、それを取りだしたとき

「お探しですか」

と背後で、しわがれた声を聞いたのだ

 

コーヒーを、いただきながら、私は目の前に、置かれた青いみょうちくりんな木の棒を

眺めていた

老人は、白いひげを蓄え、丸眼鏡は、何か別の物を見ているような気さえし

覗きこめば、ぐるぐると店が回り始める気さえした

私は、そのこけしが、良家の庭から掘り出された物であり

それと一緒に「イタチドウ」と言う紙も発見されたと言うが

その紙は、いつの間にかなくなったとか

私は、代金を払い

その妙に、ひんやりとしたこけしを、手に、店を、出たのであるが

どういう訳か、その日から、妙に、涼しい出来事が多く身の回りで起きる

夏の真っ盛りであるにもかかわらず

どう言う訳か部屋が涼しく

職場でその話をすると

昨日の熱帯夜の話をされ

クーラーでもつけた事にされた

それだけならまだしも

道を歩けば、水をかけられる

お中元には、アイスやかき氷しか届かなかったり

果たして、私は、気のせいなのだろうか

この人形が来てからと言う物

どうも、涼しい事が、良く起るのです

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