明方アバンギャルド
私はその時にづいては居なかった
それが私自身ではなく
私の隣にいた男だったと言う事を
その日私は、夢のような眠りの中にいた
連日連夜の重労働により
私の細胞は、破壊寸前まで、崩れ落ちていたのかも知れない
毛布の感触が、肌に触れたときには、私の意識は、現実になかったと言える
その日私は、目を覚ますと、軽い朝食が、出来ていることに驚いた
別に誰かが作ったわけではない
私が自分の内の冷蔵庫を開けて、その中身で作ったのであるが
問題は、朝食を作るほど時間が有り余っていると言う事にある
普段であれば、朝食を作る時間など毛頭なく
有ってもそんなものを作るよりは、睡眠に一秒でも長く時間を割くだろう
しかし、いま現に、テーブルに並べられた目玉焼きとサラダ、そして、焼かれたトーストを見るに、時間が無かったわけではないのを、物語っている
嘘のような話だが、私はその日、会社に入って、三年目にして、ようやく、休日と言う物を、手に入れたのだ
そんな事を言うと、休日と言う物が、この世の中にあるように思えるが
それはある、確かに、存在はしているが
たった一日で、疲れが居痩せる事は無く
充電と言う名の睡眠にそれが割り当てられるだけで
実質は、何もする事の無い昼休みのような
無意味さを感じる
しかしどういう訳か、私は、小学校以来感じた事の無いような
そんなわくわく感と言うか
透明度を持って、朝食を前にしていた
しかしそこで私が疑問に思った
朝食を作るだけの(と言っても簡単な物かも知れないが)
そんな、食材が、冷蔵庫に入っていると言う事なのだ
普段、そんな生ものを、買いこまない
それどころか、冷蔵庫の存在を、私はその朝食を見つめて初めて気が付いたくらいだ
そんな私は、実に食べれそうな、外見をした
湯気を出してさえいる皿の上を見て
疑問に思う、本当に私が作ったのだろうか
しかしながら、記憶はある
確かに存在する
しかしなぜだろう、その曖昧な感覚は
これは
私はその時目を覚ました
カーテンが引かれた窓は、何年も開かれていないので
かなりほこりがたまっているのを
何か月も前から
明るい蛍光灯の光で、目にしている
そうか、夢なのか
その暗い部屋の中で、私は、目をさます