霧の木曜日

コケシの1人ゴトhttp://rinnnedou.cart.fc2.com/鉱物と変態的日常のゴミ箱と化す予定 https://gagagaruisu.thebase.in

zazazaざ

「でんでんでんでん」

電話が鳴ったので

私は受話器をみみに押し当てると

何ともいえない効果音が受話器の耳の当てる場所とともに張り付いた

「ワレワレワ あ・な・たを殺シに 行く」

僕は、受話器を置くと

めまぐるしい早さで、朝食を、かっこむと

いっちょうらの振り袖に袖を通し

貫通百目とーる

という名の拳銃を持ち上げた

 

 

私は、兄を起こしに二階に行くと

血塗れの布団で猫が寝ていた

 

夕べ、私の体の中のねじが一本

血管の中をぐるぐる回り

眼球を通過し

胃に穴をあけ

毛細血管を

その無駄に鋭くしてしまったらしい

ねじの先端に切り刻まれながら

今日まで、ねじがはずれて三時間生きております

 

よく眠れた私は

自分の目に、アイスピックを突き刺し

程良く眼球の神経の場所をいじくると

ぽろんと一つ目の目玉がボールの中に

白い液体とともに落ちる

 

 

気落ちした私は

深夜の電車に乗りながら

凍り付いたみかんを

手に持ってむしゃくしゃしていた

切符を切る気もないのみに見回る運転手に

投げつけてやろうかと

にやついてもみるが

いやに溶け始めた

みかんの方がもったいなく

席に座り素直に剥き始める

 

 

全力で相手を殴りつける練習のさなか

僕の肩に何者かが手を置く

調子ついでに殴ってやろうかと

振り向いたが

そこには、マグロの頭をした

何者かが

僕の肩に手を置いていた

 

包丁をもち

マグロ人間をさばいている

救済や中止の声が聞こえるさなか

眼球を切断した

 

ミジンコほどの救済心を胸に

ビルの最高の高さにいた僕は

スーツをバタバタと派手にはためかせて

下に落ちていた

 

夜なのに

私の心は、心臓を突き破り

皮膚をメスで、綺麗に切断し

そのまま縫いつけた老婆を置き去りに

勝手に一人

夜の街に繰り出したらしく

血を吹き出し始めた

私の心臓は

心の異変に気が付くと

老婆が縫いつけた肌から血をにじませ

私の中から苦悩が抜けたことに気が付かせた

私は一人コートを羽織ると

肌寒い夜に繰り出す

 

意味のない音楽をがなりたてる車に

時限爆弾を設置していると

警察に捕まり

殴りつけようと

棍棒をつかんだ瞬間

時限爆弾が、花火みたいな音をがなり立てて

地面に大穴をあけた

 

 

まわるような悲しい音に合わせて

私は一歩また一歩と

ゆるい雪の道を裸足で歩んだ

 

聞こえるかい私の鼓動が

死んでいるかい

君の敵達の振動の鼓動は

 

緩やかなカーブに酔いしれながら

私は、逆にハンドルを切る

怒濤のようなげきおんがするさなか

頭部が、屋根に当たった

 

考えたこともなかった

私が死んでいるなんて

そんな風に物を思ったこともないし

私自身そんなことをお思ったことさえなかった

なぜなら私は生きている自信があるし

子供もいれば

そう言えば夫が

あれ、何で子供がいるんだろう

確かあれは、私をビルから突き落としたんじゃ

 

 

ゆっくりと落ちる夕日にむかって

私は、一人叫んでいた

なぜ叫ぶかと聞かれたって

私自身そんなことを覚える時間さえないほどに

時間は緊迫し

深夜の残業の影響か

舌はしびれ目はぼんやりと白くにごった

 

取るに足らない思い出を持ち得ながら

私はゆっくりと叫んでいる

何の声なのかとも思えないほどにわたしはゆっくりと叫んでいた

 

あれは、私の命なんです

巨大なコンクリートの建造物に通うさなか

私は、心臓にくいと打たれ

真っ赤な血を流す巨大な熊のぬいぐるみを見そう言った

 

テレビを見れば

朽ち果てた女の死骸を食べるデブばかりが移り込み

嫌気が差し

ラジオ聞けば

汚物のような出生の産声が延々とくりかえし流れ

ようやく落ち着けたのはノイズを消した後だった

 

見かねた私は、老人の首に

赤いガムテープを巻き付けるお手伝いをしていたが

警官が、拳銃で老人を撃ち抜いてまた

私ごと老人を打ち抜いた

私はうれしさのあまり

彼の首にかじり付き

吹き出す鮮血を捨てながら

また歯を食い込ませる

 

何とも甘ったるい土曜だろうか

路地裏には、腐ったケーキのようなにおいが立ちこめ

目の前の私の眼球は

砂でも積められたかのようにゴロゴロしていた

 

シロアリを、肌に食い込ませながら

私は目の前の猫をけ飛ばし

食いついていた犬と格闘を開始した

犬の歯が、腕から抜け落ち

自分の腕の血と抜けた歯の血が

穴の開いた犬の歯茎からしたたり落ちた

私は、道端の猫を、拳に巻き付けると

犬に投げつける

犬はそれを避けて

私の横のシロアリに食いついた

 

夜の間私は自分の顔が、像のように巨大化して

自分を押しつぶしそうな気がして

ここ十日ほど眠れていない

 

気になるほどに

私の皮膚は薄く

そして誰かの進入とともに

それは破れることを知る

 

ゴリラのような言葉を投げ捨てながら私はあなたの顔面に唾を吹きかけた

誰もその光景を見ていないことを良いことに

あなたは、隠し持っていた

ナイフで私の顔面を滅多差しにして

月光きらめく月夜の夜に

私の顔からナイフを抜き取り

さもつまらなそうにする物だから

私はあなたの顔を殴りつけると

あなたはナイフを出して私の心臓をさも気楽そうに突き刺そうとするから

私は腕を出し・・・

 

目印になんかならないからと私は夜の帳を無理矢理引きおろすと

死にものぐるいで逃げるあなたを

私は望遠鏡と虫網を片手に

あなたの後を追いかけた

ゆるゆると暮れ始めた夕日は

次第に月光となり

さもやつれたあなたに

青い月の光を有する毒を流し込む

あなたは夢のような症状に苦しみ

人形のような幸福のさなか

まだ青い月の向こうで

眼鏡をかけてくるしみ続ける

 

まだ続けるのと言うので

私は、

血管に醤油を流し続ける行為を中止した

心なしか彼女の人間としての肌色は黒い

 

がっきんこっきん

私のスピーカーから流れる音楽を聴いた瞬間

世の中の人間は動きを止める

しかしそれとは別に私が動きを止めれば

また別々のスピーカーが

面白味のない同じ曲を垂れ流す

 

人間とは生涯優柔不断であり

こうだと決めたことはすべて間違いである