霧の木曜日

コケシの1人ゴトhttp://rinnnedou.cart.fc2.com/鉱物と変態的日常のゴミ箱と化す予定 https://gagagaruisu.thebase.in

悪魔の標本

アフリカを旅していた時だ

ある地域に立ち寄ったのだが

その町は、どこもかしこも嫌に人気が無く

たまに歩いている動物は皆どこか目が血走り

体から血が滴っていた

しかし、狂犬病の類ではないらしく

住人はそれを放置していた

僕は、宿の二階のバーに立ち寄ると

そこで昼飯を食べていたのだが

いつの間にか隣に

頭巾のようなものを顔に巻いた老婆が座っており

僕をしきりに見た後に

歯の抜けた顔をこちらに寄せると

「悪魔の子が、欲しくないかね」と聞いてきた

それがミアゲ物を押し付ける売り子の類かとも思ったが

老婆は、懐から幾重にも布が巻き付け垂れたものを取り出すと

僕達が食べて居るカウンターのテーブルにそれを置き一枚一枚

それを剥がし始める

中から出て来たのは

始めは、何かの鋭く長い爪のような物であり

その全貌が現れたとき

その肌はごつごつしており

まるで、ハリセンボンのようでさえある

しかしその特出しているのはその色だ

薄暗い店内だが

そのせいではない

明らかに真っ黒なそれは

触ってみろと言われても触りたくないほどに禍々しく

そしてごつごつと固そうだ

老婆は、気味の悪い笑いを残すと

「一つ100$」と言って

僕を恐ろしい人を見透かした目を僕に向けた

一万円だと

こんな薄気味の悪いものに

一か月以上暮らせる大金をなぜ

しかし、その老婆は僕が払わないと分かると

布をたたみ始めたので

僕は、今日帰ると言う事も手伝って

それを買ってしまった

その名を「イビセラルテア」

別名 ライオン殺しの悪魔

旅人殺しの悪魔と言うらしく

僕は、プラスチックと木の箱に深く閉じ込め

一年に一度見るか見ないの存在だ

 

 

 

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